生産性を上げるための3つの要素

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 前回に続き、ドラッカーのマネジメントを1章だけ朝一番に読むということが習慣化されつつあります。本日は、その中からポイントとなっていた「生産性を上げるための3つの要素」をテーマにご紹介したいと思います。

これまで私は「生産性の向上=効率化」だと考える節が多々あったことを本日の学びから改めることとなりました。というのも、効率化したところで売り上げが必ず伸びるというわけでもなかったというのが事実だからです。

確かに効率化を進めることで「時間の余裕」や労力の減少、投入資金の削減に成功することはできましたが、このことと事業が拡大するかどうかは、また別次元の話だったわけです。

しかし、生産性を上げることと効率化が別次元であるということがわかっていても、「生産性を上げる=より多くのモノ・コトを成す」という思考にある以上「生産性の向上=効率化」という図式から抜け出せなかったのも事実です。

では、生産性を上げるための3つの要素について解説を進めたいと思います。

何のために生産性を上げるのか

 生産性を上げたくないと願う企業は、もはや存在しないと言ってもいいでしょう。では、「何のために生産性を上げるのか」という問いに対して、短絡的に「もっと利益を上げたいから」という「解」以外に目的を明確にしているケースはどれだけあるでしょうか。何のために生産性を上げるのか。その解が「もっと利益を上げたいから」だったとしたら、なぜもっと利益を上げたいのかの「解」が必要になってきます。さらに言えば、「いつまでに」「どのくらい」と言った定量的な目的も必要になってきますし、その利益を元に何をなすのかが明確でなければ、生産性を向上させるために選択すべきリスクが定まらなくなっていきます

ここで必要になってくるのが「計画」だと、ドラッカーは言っています。そして、ドラッッカーは次のように続けます。

「計画」とは、“リスクを回避したり、リスクを小さくするために立てるものではない。冒す価値あるリスクとそうでないリスクを選別し「より大きなリスクを負担する」ようになるために立てるものだ。”

一般的にも「ハイリスク、ハイリターン」「ローリスク、ローリターン」はあっても「ローリスク、ハイリターン」と言った都合のよう話は転がっていないと言われます。ただ、世の中には「ハイリスク、ローリターン」も多く転がっているために冒すべきリスクを選別する必要があるわけです。

また、この「計画」に関しては「計画とは未来を予測するものでもない」とも言っていますし、「計画とは思考であり行動である」とも言っています。

私もたまにやってしまいますが、近い未来をそれまでの「流れ」から予測し準備することがあります。

これでは「昨日の延長線上の今日」でしかなく、短期計画の連続を余儀なくされますので、結果として長期的な計画は立てることができず、より大きな事業や利益を生むことはできなくなってしまいます。

有名なドラッカーの言葉に「企業が持つ機能とは、マーケティングとイノベーション」という言葉がありますが、起業家の役割は「予測の範疇を変える出来事を起こすこと」すなわちイノベーションを起こすことだとも話しています。誰もが10年後や20年後を予測できない通り、そして近い未来を予測して昨日の延長線上の明日を実現しているレベルでは、事業としての存続が危ぶまれるということのようです。

このことから私は「生産性を上げるための3つの要素」の1つ目をドラッカーの言葉を借りるのなら「昨日の廃棄」だと位置付けました。





なぜ「昨日の廃棄」が生産性を上げるのか

この「昨日の廃棄」は前回のエントリー「目標の設定とその実行」でご紹介した8つの目標の2番目に当たる「既存の製品の廃棄についての目標」にも共通します。

「昨日の廃棄」と言っても、全ての過去を廃棄し続けるわけではありません。計画を立てるということは、「明日の目標を達成するため」に「今日何をするか」を計画することですので、もはや生産的でないものや陳腐なもの、陳腐化したものを廃棄し、自由な時間や柔軟に投資できる資金を確保する必要があるわけです。

昨今のビジネス環境を顧みれば、技術革新によって「陳腐化した作業」は日増しに増えているように感じます。

この「陳腐化した作業」を進歩した技術やシステムに置き換え従来の作業(昨日まで行っていた作業)を廃棄する。また、人も日々スキルアップしていきますので、その時々のスキルに合わせて生産的でないものや陳腐なもの、陳腐化したものを廃棄していく必要があるわけなのです。

そして、冒頭でお話しした「効率化」とは、単にこの「昨日の廃棄」でしかないということだと気付けました。

「生産性を上げる=効率化」という思考は、生産性を上げるための3つの要素の内、たった1つの要素しか手がつけられていない状態だというわけなのです。

生産性を上げるための第2の要素

 生産性を上げるための一つ目の要素を「昨日の廃棄」とするのなら、2つ目の要素は「リスクを選択するための資産づくり」だと私は考えます。昨日の廃棄を行うにしても、廃棄できるものが一目瞭然に陳腐化していると感じるものばかりではないはずです。「何を廃棄し何を始めるのか」を選択する場合においても、そこにはリスクが付きまといます。

また、自ら廃棄しなくてもインターネットを活用したビジネスにおいては、意図せず廃棄されるものがあり、第3者から「陳腐なもの」とレッテルを貼られるものがあります。生産性を上げるためには「昨日の廃棄」が重要であり、この「昨日の廃棄」には(1)生産的でないもの(2)すでに陳腐なもの(3)陳腐化したものとあるように、インターネットと言ったテクノロジーの上では、「昨日の廃棄」を行うための選別作業ですら「生産的ではなく陳腐化したもの」ということができます。

では、昨今のインターネットを使ったビジネスにおいて「意図せず廃棄」されたり「第3者から陳腐なもの」とされたりするものは何かというと、WEBコンテンツがこれにあたります。

WEBコンテンツとはすなわち「情報」ですが、「情報」には、特異な性質もあります。

それは、私が40数年前に書かれたピーター・ドラッカーの『マネジメント』という書籍の中に収められた情報から今のビジネスに必要なエッセンスを学ぶように長い間陳腐化しない情報もあれば、過去に一旦陳腐化したものの数年の時を経て再び価値が高まる情報もあります

特に昨今のような情報過多の時代において、また価値観の多様化が進んだ現在においては、ひとつの情報がある属性に対しては陳腐化されたとしても、引く続き別の属性から支持を得るということもあります。そのための資産としてWEBコンテンツを積み上げることが、現代のビジネスシーンにおいては生産性を上げる2つ目の要素ではないかと捉えたわけです。

インターネット上において「生産的でない」とは、アクセスされないということですし、「陳腐化する」とは、検索されず、検索結果からのトラフィックが望めないWEBコンテンツのことを意味します。しかし、検索エンジンシステムのことを考えれば、これらの生産的でなくかつ陳腐化されたコンテンツは、同じWEBサイト内に蓄積されている生産的であり「価値あり」として事業に貢献しているコンテンツにとっても生産的でなく陳腐化されているのかといえば、一概にそうとは言い切れません。

検索エンジン経由の直接的なトラフィックを獲得するためには、リスティング広告が有効ですが、ウェブサイト内の資産が蓄積されれば、その小さなトラフィックしか獲得できていない多くの「生産性に欠けるコンテンツ」から目的のコンテンツへアクセスを誘導することができるようになり、リスティング広告から得られるトラフィック数やコンバージョン率を上回ることもあります。

WEBサイトの更新やブログ記事の追加作業は、単に検索エンジン対策やトラフィック獲得だけの目的ではなく、WEBサイト全体の資産形成として取り組んでこそ生産性の向上に繋がるというわけなのです。





生産性を上げるための第3の要素

 生産性を上げる1つ目の要素が「昨日の廃棄」であり2つ目の要素を「リスクを選択するための資産づくり」とするなら、3つ目の要素は「資産となるツールを増やす」ことだと私は考えています。ネット集客を行う場合は、この「資産となるツール」に複数のウェブサイトが含まれるかもしれません。その理由は、本サイトのトップページにも記載している「インターネット5大特性」の1つ目「消えない資産」だからです。

自らウェブサイトをサーバーから削除しない限り、インターネット上にあなたが作成したコンテンツは何万回閲覧されても劣化することなく残り続けます。ただ、ビジネスを営む以上インターネットだけに固執するのは得策とはいえません。オフラインの世界でも昨今の技術革新のおかげで資産となるツールを再生産コスト無しに手にすることができます。

それが、電子書籍や受注ベースで印刷・製本されるプリントオンデマンドによる出版(POD出版)です。

電子書籍やPOD出版は、通常の商業出版とは異なり、在庫本を生産しません。

在庫本を生産しませんから逆に在庫切れも起こしませんし、POD出版による紙本は印刷製本された書籍が在庫として倉庫に眠ることもありません。そのため、再生産コストは書籍の売り上げの中から相殺されるため追加生産に必要なコストを気にする必要もなく、在庫を管理するためのスペースやそこに必要なコストの心配がないわけなのです。

更に、あらかじめ印刷製本し大量の在庫をストックしませんので、加筆や修正も従来の紙本では不可能でしたが、ほとんどコストをかけずに行うことができます。もちろん、オフラインにおける「資産となるツール」は電子書籍やPOD出版だけではありません。

私たちセールスコピーライターが必需品として日々蓄積しているものの中に「スワイプファイル」というものがあります。一般的にこの「スワイプファイル」には、過去に成果を収めたキャッチコピーや日々投函されるポスティングチラシなどから気になったものをファイリングしていく、事例集のようなものですが、私の場合は「名刺デザイン」に関してもスワイプファイルの中に蓄積しています。

この他、商談中の相手の反応などを記憶しておき、好反応を引き出したトークフレーズも「トークスクリプト」として蓄積しています。

これらのスワイプファイルやトークスクリプトは管理するのに以前まではとても大変でしたし、リストが増えれば増えるほど再利用する際に引き出してくるのが大変でした。しかし、最近ではEvernoteを使うことで、その引き出し作業の手間も10分の1程度にまで圧縮できたのではないかと感じています。

Evernoteに関してはまた別のエントリーでお伝えしますが、Evernoteの利点は「整理する」という感覚すら陳腐化させる「検索する」「山の中からピンポイントで探す」という機能をフルに活用するのがポイントだと感じています。

このように、様々な情報を集めながら技術革新の上に自らのビジエスにおいてもイノベーションを起こすべく、生産性を向上させる。生産性を上げるためには、まず「昨日の廃棄」を心がけ、「リスクを選択するための資産を作る」そして、過去の作業や投資して得た資産を陳腐化させないための「資産となるツールを増やす」この3つの要素が重要となってくるといったわけです。

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