地産地消と拡散

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(あなたのビジネスに置き換えてお読みください)

昨日までの3日間、宮崎に出張していました。

初日の仕事終わりに目の前の海岸で波乗りをした時の写真です。今回の目的は「ヤンキーの虎」に会いにいくことです。

この「ヤンキーの虎」というのは、レオス・キャピタルワクース代表取締役の藤野英人氏の著書の中で紹介されている、元気な地方実業家のこと。書籍内で語られている、このヤンキーの虎の中でも、僕自身の考え方に一番近いであろう、サーファーの虎に会いにいってきたのです。

日本の各地に波乗りポイントはありますが、今回選んだのは九州の宮崎。

これまで、関西は和歌山、そして静岡と移り住んで波乗りにも行ってきましたが、「何かが違う」と感じたのが、宮崎のサーファー達でした。

ビジネス的な立地も感覚も大阪に近い和歌山、東京に近い、静岡や神奈川とは違って、宮崎の場合、近い大都市は、福岡県。福岡県は、東京や大阪のハブスポット的な都市だと感じていますし、アジアからの玄関口とも言われていますが、また違ったユニークさをもっている都市だと感じています。

そんな中にあって、宮崎のサーファー達と同じ波に乗り、地元サーファーが集まるお店でお酒を楽しみながら、彼らのビジネスに耳を傾けてきました。

多くを望まず、地産地消で多くを取り込む

今回、よくお話しできたのは、地元でゲストハウスを3棟経営する30代サーファー。そして、自動車販売を手がけ、サーフトリップも国内にとどまらず、世界各国を回られている福岡からのトリッパー。そして、ビジネスからは既にリタイアされている千葉のベテランサーファーさん達でした。

宮崎県の青島というポイントに行ったのですが、ここはまさに観光地。市街地に入ればもっとビジネス的な風も吹いていたのでしょうが、最近の観光地にあるような「地元のモノ+他にもなんでもあるよ!」といった雰囲気が全くないんです。

もちろん、他の観光地とのアクセス的な要因や「観光の目的」で旅行者の目的が変わるので「海辺」は、もっぱら海水浴と地元の食事と言ったものがメインの目的。僕もまだまだ宮崎のことを勉強しなくては語れないでしょうが、食べるものが地元のものしかないというのは、実にユニークでした。

もちろん、コンビニはありますよ。少し市街地よりに車を走らせれば、ファミリーレストランもあるでしょう。

しかし、ヤンキーの虎に会うために訪れたお食事処は、まさに地元のものしかありませんでした。驚かれるかもしれませんが海辺なのに「鶏」屋さんが多いのです。

2日目の晩にお邪魔した「鳥萬」さんは、メニューには「もも焼き」と「たたき」しかありません。

飛び込みでこのお店に入って座ったカウンターで、海で何度か顔を併せていたベテランサーファーから、ウェルカムドリンクをごちそうになり、「お店のシステム」をレクチャー頂きました。

すぐにお帰りになられた地元ベテランサーファーに変わって入ってきたのが、50台前後の地方の虎ならぬサーファーの虎的雰囲気を醸し出している2人組。

活気の良い「兄さん」風の方が私の隣に座り、挨拶代わりに乾杯をすると「どこからですか?」と…

「福岡からです」と応えると、「え!僕もですよ!」と…

そして、私の方を向いた瞬間に目に入った、後ろのテーブルで食事をされていたしっかり日焼けした60代くらいのサーファーに気さくに話しかけられ始めました。

この方は千葉の方で、千葉や神奈川、静岡の波も良いけど、宮崎はまたひと味違って楽しいと、日本のメインサーフスポットとも言える地元から九州の波を楽しみに来られている話に耳を傾けていました。

その中に、こんな言葉が…

「むこう(千葉や神奈川)は便利だし、もちろん波も良いよ。だけど宮崎の波は宮崎にしかないんだよね」

もちろん、千葉の波は千葉にしかありませんし、神奈川の波は神奈川にしかありません。静岡や大阪、四国に宮崎、そしてスリランカと波乗りをしてきましたが、その場所そのポイント。そして、その日のコンディションで、何質が違うのは当たり前ですが、波乗りをしている場の雰囲気が、それ以上に独特なのです。

サーファーの間では「ローカル色」という言い方もするのですが、それともちょっと違うような感じです。

今回、その「ちょっと違う」のひとつを感じたのが「食べ物」でした。

地元のものしか出さないし、仕入れない。小さいお店だったですが、地元サーファーがトリップで訪れるサーファーを連れてきて、美味いツマミと波乗り談義で地元の酒を飲む。

地元サーファーは場合によっては3晩も4晩も、時には1週間連続で違うトリップサーファーを連れて同じ店で定番メニューと「その日」の料理を頂くそうです。

「あきないんですか?」の質問をさせる雰囲気は、全くありません。「味覚」はその環境でも異なると言うことは多くの方がご存知の通り、毎日同じものを食べても、毎日楽しい食事ができていれば、毎日美味しいですし、飽きないわけです。

食事のバランスはと言うと、その日に手に入ったものを出して頂けるので、常に旬のものが食べられます。そんなにお店の数も多くないので、ライバル店がいて仕入れなかったと言うことも、そんなにないでしょうし、知り合いに農家がいるので、そこから仕入れられると言う環境も出来上がっています。

すると「また、野菜送ってもらっていい?」という声が…

そうなんです、共通の趣味を通じて、地元の旬の食材を味わい、トリッパーは地元の帰って、トピップ先の食材を楽しむ。

地元の人間が、地元を愛し、地方から訪れる人達との共通の趣味や楽しみを通じて、それらが拡散していく。

ここには、デジタルな話は一切ありませんでした。そして、それぞれの方々が経営されているお仕事の話もありましたが「顧客の数」や「顧客獲得」に関する話は、一切出ませんでした。

ご自身が取り組まれているビジネスの楽しさやこだわり、そして、お客さんのおもしろニュースなど。そのほとんどが、お客さんもサーファーで…この前一緒に海外にとか、去年は一緒に宮崎にと言った「オチ」が付くのですが、波乗りと同じくらい、皆さん、ご自身の仕事が好きで、そのご自身の「好き」を通じて商品を買ったりサービースを受けられるお客さんが好きで溜まらない様子でした。

これと同じことを、どの事業規模まで実現できるかと言えば、限界はあるでしょう。しかし、そんな限界を気にして、今やりたいこと、やるべきことに「ダメ」を出すのは、どうなのかと思います。

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