ホームページ制作における、発注側と受注側の言分と幻想

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ホームページ制作業者と依頼者

ホームページ制作における、発注側と受注側の言分が平行線をたどることは少なくありません。

制作を依頼する側は、できる限りコストは抑えたいし、受注側は少しでも売上額を引き上げたい。実はこのせめぎ合いは、「金額」の話だけではありません。ホームページの構成やディレクション内容において、依頼者側と制作会社との間に、それぞれWEBサイトに期待する認識の違いが大きな溝となっているケースの方が多いというのが実情のようです。

本記事では、これまでのご相談を頂いた、制作会社とのトラブル、または、制作会社から相談された「適正価格での受注方法」に関して、いくつかの事例を通してお伝えしていきます。

ホームページ制作の料金設定が不明瞭なのは、なぜ?

ホームページの作成を依頼する企業は、いくつかの制作会社に問合せをし、見積もりを依頼することが多いが、ディレクション費用やデザイン費用等、そのサービス内容と料金との価値基準を図る事ができず、価格が適正なのかを判断しづらいという実態があります。

特に、ここ数年増えてきているフリーランスとして、ホームページ作成の依頼を受注している個人の制作事業者が増えていることも原因し、この「目に見えないサービス」に対する価格設定にバラツキが多いために、依頼者は何を基準に依頼内容を具体化し、そこに金銭投資をして良いのかが分からなくなってきている。

この「目に見えないサービス」は、何もホームページ制作に限ったことではなく、コンサルタントや料理人、大工さんと言ったレベルが上がれば上がるほど、その違いを依頼者側が感じにくくなるサービスはいくつもあります。

しかし、ハイレベルな料理人や大工さん、そしてコンサルタントに対して、このような問題は起こりません。では、なぜホームページ制作において料金設定が不明瞭なのでしょうか…

その理由は、実績と成果物に対するギャップです。更に言えば、実績と提案内容、そして提示価格のどれをとっても論拠が明確でないために、このようなことが起こります。

それともうひとつ。接触機会とのギャップも多いに影響してきます。ん〜ちょっと分かりにくいですね。それでは、直近のある事例から少しずつひも解いていきましょう。

私がたまたま居合わせた、直近のケースでは、過去(10年以上前)に、大きなプロジェクト・サイト(具体名を挙げれば、誰でも知っている)を先導したシステム会社が、ディレクションによって制作費用を大幅に削減した実績をクライアントに提示し、「提案力」を武器に受注を獲得しようとしていました。

しかし、現在のWEB制作事情を考えると、彼が提示したディレクション内容のほとんどは、無料で実現できるほど、ホームページ制作を取り巻く状況は変化しているというのが実情です。この「クライアント」は、私のクライアントではないため、他人の仕事に口を挟む趣味はありませんので、インターネット活用の知識格差を利用したセールスはいかがなものか、というのが私の感想です。

制作会社自体の知識レベルと技術スキルにセールススキルが伴っていない

これは、拙著「小さなサイトの儲かる秘訣、大きなサイトが掘る墓穴」でも、お伝えしていることですが、元来、多くのホームページ制作会社(特にフリーランス)は、自社サービス以外のセールス経験が乏しいというのが実情です。

特に「WEBディレクション」に価値を求めたがる制作会社は、この典型的な例だと言っても過言ではないでしょう。

ある、制作会社はホームページを求めるクライアントや相談者に「ビジネスモデルを提案」するスキルを持ち合わせているかどうかを制作会社のレベルを決めるような発言をするところがありますが、深く関わっていない業界や業種に対して、ビジネスモデルを構築できるというおごりは、結局、クライアントを泣かす羽目になりかねません。

ホームページ制作会社ができるのは、せめて、自社の制作コンセプト上に依頼者のビジネスを想定の範囲内で当てはめ、ホームページを企画する程度でしょう。依頼者はこの提案に対し、追加の要望や修正を依頼しなければ、ホームページを運営する過程の中で、従来からある企業体質、経営体質とのズレによって、ホームページから得られる成果を損なってしまいかねません。

ただ、これはWEBサイト制作会社やフリーランスのWEBディレクターに限ったことではありません。

発注する依頼者に関しても、セールススキルが乏しければ、自ずとこの「ディレクション費用」や「進行管理費」なるものに眉をひそめてしまいます。

ホームページに求める最大の成果は『売上』や『利益』という価値観は、依頼者側も意識の高い制作側も同じようなのですが、売上や利益は、繰り返し行われるテストによって磨き築かれるものです。そのホームページに売上をもたらせるか、利益を上乗せした料金までを快く支払うかどうかは、顧客が決めることであり、ホームページが残した成果が『本来得るべき適正な成果』かどうかは、テスト(運営改善)を行わなければ、計ることはできません。

ホームページの制作コストは最低限に抑えるのが成功のポイント

本サイトのトップページでも紹介している通り、インターネットには「五大特性」というものがある。この中に「インターネットは魅惑の世界」という項目があるのですが、私たちの生活に大きな影響を与え、様々な変化をもたらす「インターネット」という存在は、幻想と魅惑に覆われていると言っても良いでしょう。

インターネットの五大特性

  1. 消えない資産
  2. 距離感の消滅
  3. 時間的制約からの解放
  4. 公開された情報の信頼性
  5. 魅惑の世界

企業サイトが国内でも流行り始めた頃、ホームページは「24時間365日稼働の店舗であり営業マン」だと嘯いた(今でも居るようですが…)制作業者が無数にあります。

実際の店舗は、内装をアレンジしたり、ポップの張り替えも行えば、店舗にお客を呼び込むための広告も出稿しますし、看板も掲げ、その看板の修正なんかも行いますよね。第一、店舗は「立地」が重要です。立地を考えずに店舗を構えるオーナーはどこにも居ないことでしょう。それを他所に、この「立地」をインターネット上で再現するのがSEOだという輩も少なくないようですが、これも10数年前までのお粗末な検索エンジンシステム上での話であって、現代インターネット事情では、SEO(検索エンジン最適化や検索上位表示対策)で、立地などは獲得できない。

ホームページは「24時間365日稼働の店舗であり営業マン」という、キャッチフレーズの「営業マン」をとってみても同様のことが言えます。

営業マンは、成長するから営業マンで居続けられるのですよね?

成長するということは、失敗もしているし、経験の積み重ねがあり、企業は営業マンに教育を行うこともあるでしょう。果たしてこの「過程」を、ホームページ制作時に投入するディレクション費用という投資で果たすことができるのでしょうか。

もともと営業畑に居た私の感覚からすると、ディレクション費用が投入されたホームページというものは、中途半端な自信と実績を持った、扱いにくい中レベルの中途採用営業マンでしかありません。それよりも、純粋無垢で経験はないが、社内方針等を真摯に取り組める新人営業マンの方が、セールス・サポートから始めさせて、セールスマンとしての自立。そして、営業部署を束ねる管理職へと育成しやすいと考えます。

結局、このようなホームページに対する考え方の共有と相互理解を深めるため、それを具体化させる過程がディレクションなのです。

この考え方に、もしあなたが賛同できるのなら、あなたはもうディレクション費用などは、支払う必要がないわけです。ホームページのディレクションを社内で行い、その実現に必要となるホームページの機能を再現するため優先順位を決定。それをもとに見積もりを手配しコストとのバランスを調整していく。

あとは、テストと言う名の「運営改善」「サイト育成」を行い、WEB担当者の教育とスキルアップに投資し社内資産を拡充していけば良いわけなのです。

次に挙げる特定条件下以外に多額の投資は無駄

ここまで本記事をお読みのあなたなら、新規ホームページ開設の際に100万円を超える投資は非常に無駄だと理解頂けたことでしょう。しかし、次に挙げるWEBサイト運営条件が加わる場合は、その限りではありませんので抑えておいて頂きたい。

  1. 瞬発的なアクセスが発生する広告の使用予定がある
  2. 厳重なセキュリティを必要とする
  3. 既に数万件を超える顧客情報をWEBサイトと連携させ運営する

瞬発的なアクセスとは、テレビ番組で取り上げられたり、テレビCM、この他インフォマーシャル番組(テレビやラジオ)といった瞬間的に数万アクセスを獲得する予定のあるホームページなら、サーバー面から投資が必要になり、多重アクセスに対応し得るWEBサイト構築が必要になるほか、それらの番組からホームページ上で成約させる導線の構築等も必要になるため、多額の投資は必要になるでしょう。

次に挙げた「厳重なセキュリティ」に関しても、同様に投資が必要になりますが、この「セキュリティ」に関しては、水物と考えていた方が良いでしょう。「AよりBの方が優れている」という比較は不可能ではないが、セキュリティに多額の投資をしておけば、ハッキングや不正改ざん、情報漏洩等のリスクがゼロになるとは限らないので、幻想を抱いてはなりません。

最後に、既に数万件を超える個人情報をWEBサイトと連携させ、インターネットを通じた売上拡大と経費削減を求める場合であっても、そのリストとインターネット活用の親和性を検討した上で連携を計らなければ、無駄な投資、無駄なシステム導入となってしまいます。それらを見越した上で、連携が必要な場合は、リレーションシップ構築に必要な工数などに費用が必要になるため、ある程度の金額は準備する必要があります。

この他、オリジナリティ溢れるデザインを採用した大規模サイト(最低300ページ)のリニューアルに関しても、作業工数が多いために出費は避けられないでしょう。

特に10年以上運営してきたホームページを現在のネット事情に合わせて改修(リニューアル)を検討する場合、新設サイトを開設し順次移行させる方が費用対効果が優れている場合は少なくありません。

その昔、「24時間365日稼働の店舗であり営業マン」と表現された、ホームページですが、現実世界の「店舗」そして「営業マン」がどのように変化してきているか…ここを抑えれば、店舗を運営し実績を残した、もしくは、営業マンを経験し実績を残したこともない制作会社の「ディレクション」と言う名の、売上げ加算口実に頭を悩ますことはなくなることでしょう。

「小さく産んで大きく育てる」がホームページ作成の基本

ホームページは、基本を抑えた土台、あらかじめ想定できる運営方針の範囲で、その後の状況(テストデータ)によって、柔軟に対応できる最低限の土台構築に止めることが重要です。

商談型ビジネスは特に、顧客の表面化する要望が時代とともに変化することも多く、インターネット上の情報によって大きな影響を受けることをあなたもご存知のことでしょう。

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ホームページの制作で頭を抱える前に堅実な経営者が初めに読む本

ホームページを使って売上を伸ばしたい!でも、制作費は抑えたい!そんな欲張りさん達が堅実な結果を手にするための1冊。

なぜ、現場営業上がりの元セールスマンがホームページ制作業界に後発参入し、先人を指導するまでの成果を上げることができたのか…

ホームページ制作会社の選び方や制作コスト削減テクニックを抑えながら、ホームページからの集客や売上を伸ばすために抑えるべき点は抑えたいと願う、堅実な経営者が初めに読む本。

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堺ブレイザーズ(旧新日本製鐵バレーボールチーム)を引退後、様々な職業経験を積んだのち2010年に起業。ネット集客サポートのほか、ホームページの自社作成&自社運営の指導(企業内WEB対策チームの養成)を行う。この公式ブログでは、WEB活用だけでなくマネジメントや働き方改革、選挙と政治など様々なジャンルの情報発信を行っている。2018年9月から自ら働き方改革を始め、派遣の港湾労働者として現場の働き方改革の体験を始めている。 10数冊の著書があり、自らも出版事業を始め"WEBと出版をつなぐ新たなカタチ"を導入したコンテンツ・マーケティングを提供している。

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