ネーミングの重要性。ネーミング一つでスタッフのモチベーションも上がる

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店舗ビジネスのネット活用を福岡から支援する松村です。昨日、事業ミーティングの中で社内ネックの原因のひとつに「ネーミング」が大きくかかわっていたことが明らかになりました。

どういうことかというと、次の通りです。

ある企業で起こったネーミングと営業意欲の嘘みたいな密接な関係

あるクライアント企業にIT部門がありました。このIT部門にはまずパソコン教室があり、ネット回線取次代理店業務がありました。

経営を続けていくうちに、法人に対するITサポートの要望が出て来て、社内ネットワークの構築やホームページの作成を手掛けるようになったという時代背景があり、そんな中、パソコン教室には地元の方に受け入れられやすく親しみやすい店舗名が付けられ、地元に受け入れられるようになっていたんです。

しかし、企業体としては「IT部門」という名刺への肩書きがあり、店舗名には親しみやすい「一見『軽い』」呼称が付いていた訳なのです。

パソコン教室の仕組みはEラーニングを提供するもので、直接の指導はほとんどないと言う形態。法人サポートは、依頼を受けた社内ネットワークの構築とトラブルに関する改善及び保守。

ホームページ作成は、依頼されたものを形にするという従来通りのスタンスでした。

サポートに入らさせていただき、数ヶ月スタッフさんの様子を見ながら、個々人がサービス形態と実際の現場に違和感を感じられており、そのギャップにジレンマを感じられている気配を感じてはいたものの何が原因で、どこにジレンマを感じているのかを正確に見つけることができずにいました。

そこで部門責任者と職場から離れ面談を行うことにしました。

業務内容を洗い出し、収益性と作業労力、そこにかかる心理ストレスなどを対話形式で表面化して行きました。

その結果、名刺に若干大きく書かれた親しみやすい店舗名と実際に所属している「IT部門」(店舗名よりは小さく記載されている)に視覚からくる刷り込みが行われているんじゃないかという仮説が浮かびました。

通常の会話でもこの部門のことを親しみやすい店舗名で呼んでいたと言うこともあり、パソコン教室という「場」を提供する仕事という刷り込みが行われており、法人サービスに関しては、依頼された結果を提供することが自分たちの仕事という感覚を無自覚に刷り込んでいたようです。

しかし、実際の現場はというと依頼をくれた法人顧客とは「依頼内容の成果物」ネットワーク環境やトラブル解決のその先にある成果を求めている、トラブルを改善したとしても、マイナスをゼロにすることはできても、作業効率自体は向上しません。

依頼主は現状のシステムでは頻繁にトラブルが起こるので、システム自体の改修を望んでいるのですが、どう改修していいのか分からないと言うことは多々あり、そう言った相談にも応じるのが法人向けITサポートの業務。

そうなんです、この部門はIT部門、情報技術の専門集団という技術屋ではなく、技術をどのような形で活かすことで、その先にある成果を向上できるのかを提案し提供できるソリューションチームだったんです。

「そんなことがあり得るのか?」とお思いの方もいらっしゃるかも知れませんが、視覚情報や普段の会話からの刷り込みというのは頻繁に起こっています。

ソリューションチームが技術屋と呼ばれれば、技術があるだけに、顧客へのカスタマイズされたサービスの提供を自慢の技術力だけで解消しようとなり、「顧客の声にならない声に対しヒヤリング」を行わなくなってしまいます。

こうなってしまうと最高の技術をもってしても顧客の声にならない声とのギャップが広がることは少なくありませんので、結局は技術屋が最高のパフォーマンスを発揮したとしても顧客満足度を挙げることにはつながらないと言う残念な結果を招いてしまいます。

面談を進めていく中、事務的なことだと感じるかもしれませんが、部門名称を「ITソリューション部」とし、これまでは店舗事業部というくくりから、店舗名が組織名称になっていたので、これを辞め、親しみやすい呼称はあくまでも店舗名であって事業名称ではないと言うことをハッキリとさせ、先に洗い出した業務内容からソリューションに繋がらない業務の収益性や優先度が低いことを確認し、今後の具体的な事業戦略を立てることができました。

業績停滞の理由というのは多岐に渡る場合が多いと言うのが実情です。

しかし、実は1ヶ所手を加えるだけで改善に向かいということは少なくありません。

その手を加える1ヶ所というのは、USPに繋がる部分なのです。

事業名称や店舗名はUSPからの派生で生まれます。

実は肩書きに関しては、個人の社内におけるUSPに直結しています。

役職には主任、係長、課長、部長、取締役などの役職名がありますが、10~30名くらいまでの中小企業となると、この役職と業務内容が一致しておらず、社内での個人USPとかけ離れている場合が少なくありません。

マズローの5段階欲求からすると役職が与えられると言うのは、収入から満たされる生存の欲求を満たし、次に雇用され続けるという安全の欲求が満たされ、更に、その企業に所属している喜びという社会欲求が満たされており、それまでの実績とスキルを役職という形で承認の欲求を日々満たし続けることに務め、更に高次の「自己実現の欲求」を目指す状態にあります。

この心理段階と現状にズレが生じると心理ストレスを引き起こし、モチベーションを下げてしまいます。

もし、あなたが経営者や店舗のオーナーさんで、「そんな小さなこと」とお考えでしたら、あなたの名刺から一切の肩書きの記述を消し去ってみて、ご自身の行動の変化、心理的変化に目を向けてみてください。

おそらく想像するだけで事足りるでしょうが、3ヶ月後には社交の場に出かけることは激減し、業績も右肩下がりになっていることは、想像に難くないかと思います。