働き方改革より必要なのは、企業を成長させる「働かせ方改革」

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松村工

働き方改革が声高になりつつある近年、これまで様々な職業体験をしてきて、クライアント様のところでもご相談をいただきますが、私自身が体験してきて感じた「働き方改革」や「働かせ方改革」について、とりあえず、まとめました。

働き方改革を始めたくても、勤め先の企業が「働かせ方改革」に取り組むことが重要だと考えています。

また、企業にとっても、働かせ方改革を行うためには、安定した利益と業績を損なわない働かせ方改革を実施する必要があります。

特に、「お給料」「休日」「勤務時間」「業務内容」など…どのように手を加えていけば良いのか…と、悩むことも多いと思います。本記事では、「報酬制度」と「業務形態」および「事業形態」の3つの関係を見ながら解説していきます。

概要

本記事では、厚生労働省発信の「働き方改革〜一億総活躍社会の実現に向けて〜」の資料をもとに、働き方改革を成功させるために必要な「働かせ方(職場マネジメント)改革」について、以下の点で考察しています。

  1. 「事業形態」または「職種」と報酬形態の違いには、「成果」「時間」「報酬」の3つの関係によって違いが生じる
  2. 働かせ方(職場マネジメント)改革のポイントは、非常に大切なことではあるが、一旦「個人差」と言う不確定要素を排除して計画する必要がある

事業形態の違いと報酬形態の違いの整理が働き方改革成功のポイント?

本記事で取り上げる「事業形態」または「職種」と報酬形態の違いとは、大まかに言うと「成果」「時間」「報酬」の3つの関係によって違いがあると考えており、以下のような内容を意味します。

  • 成果(売上高や契約数など)に応じて報酬を支払うことができる事業(例:営業職全般)。
  • 出来高に応じて、拘束時間を短縮できる(もしくは、延長せざるを得ない)事業(例:物流事業、港湾作業など。営業職と直結しない事務職、管理職)
  • 一定時間の拘束が必要な事業(例:ホテルやレストランなどの接客業。コンビニエンスストアなど。営業職と直結する事務職)

厚生労働省発信の「働き方改革〜一億総活躍社会の実現に向けて〜」の資料によると、働き方改革全体の推進ポイントは以下の2点です。

  1. 労働時間法制の見直し
    働き過ぎを防ぐことで、働く方々の健康を守り、多様な「ワーク・ライフ・バランス」を実現できるようにします。
  2. 雇用形態に関わらない公正な待遇の確保
    同一企業内における正社員と非正規社員の間にある不合理な待遇の差をなくし、どのような雇用形態を選択しても「納得」できるようにします。

①の「働き過ぎ」とは、何を意味するのか…この「働き過ぎ」が意味することを適切に定義する必要があります。

上記参考資料(「働き方改革〜一億総活躍社会の実現に向けて〜」)によれば「働き過ぎ」とは、「長時間労働」と「休暇」が具体例として挙げられていますが、若干抽象的な尺度として「健康を害さない」「子育て」および「介護」との併用も可能な働き方が提案されています。

前者の「健康を害さない」には、おそらく精神面も含まれており、過労による「うつ」などのストレス障害への配慮も伺えますが、ここには大きな個人差があります。

働き方改革を、半ば強要される企業側(雇用する側)にとって、この「個人差」は、非常に厄介です。

後者「子育て」や「介護」に直面していない人たちと、直面している働き手としの衝突も免れないことでしょうし、「プライバシーの問題」も絡んでくるため、「働かせ方(いわゆる「マネジメント」)」が、働き方改革の導入と利益の確保につながると考えられます。

故に①の「働き過ぎ」を考慮した上で、且つ事業形態や職種と報酬形態の違いを踏まえた上で働き方改革成功のポイントを論ずると複雑さが増してしまいます。

そのため、本記事では(非常に大切なことではありますが)、一旦、この抽象的な表現になっている「個人差」に関する考察を割愛し、先に挙げた3種類(上記黒板内)の「事業形態」または「職種」と報酬形態の違いを軸に働き方改革を導入する際のポイントを考察していきます。

黄色枠内の②「雇用形態に関わらない公正な待遇の確保」に関しても、実際に私が体験している、正規社員と非正規社員の不合理な差を無くした「働かせ方(職場マネジメント)改革」の一部を紹介していきます。

「成果」に応じて報酬を支払うことができる事業や職種における働き方改革のポイント

「成果に応じて報酬を支払うことができる事業や職種」には、営業職全般が当てはまりますが、広告代理店のような「成果を永続的且つ連続して要求される事業」は、この範囲には含まれません。

「成果」には、単純に「売上」だけではなく「出来高」や「生産(製造)物量」なども含まれますが、この両者を混同すると、働き方改革のポイントが見えなくなるため、本記事で取り扱う「成果」に関しては「売上高」や「契約数」のみに絞って論じることにします。

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所謂、「営業会社」や「販売会社」と製造業、「営業職」と「事務職(営業職と直接関係しない)」では、根本的に働き方改革を実施する上での考え方が異なって当然と言うわけです。

成果に応じて報酬を支払うことができる事業や職種」における働き方改革の導入は、他の2種に比べて容易です。

なぜなら、販売成績、契約獲得成績にのみフォーカスし報酬を定めれば、本記事では一旦割愛すると前置きした「個人差」の面も含めて、改革することができます。

しかし、営業成績が伸びないスタッフに関しては「長時間労働」となる危険性があります。

私も過去、訪問販売の会社に勤務し4年弱勤めましたが、売れない時代は嫌がらせのように長時間労働を強いられました。そのため、その「嫌がらせのような長時間労働」に耐えられないスタッフは、数ヶ月(早い人なら数日)で、職場を去ります。

私が勤めていた訪問販売の会社(特に所属した支店やグループ)では、毎日、個人名と売上実績レポートが支店にFAXされます。営業マンとして1年以上勤務できる人材は、この売れない時代でも、毎日送られてくるFAXをカンフル剤とし、また「嫌がらせとも感じられる長時間労働」から解放されるために、知恵を絞り、先輩やトップセールスマンの「売る技術」を研究し、報酬を手にします。

マッつん

最近なら、この「「嫌がらせとも感じられる長時間労働」」は、「パワハラ」として問題になるかもしれませんね。

語弊を顧みず言うならば、上司からの嫌がらせともとれる行為(本人(上司)にその気が無くても)を、「パワハラ」として捉え、他者に改善を求めるのか、本人自身が変わること(成長する)によって、状況を変化させるかにも「個人差」が、大きく関わるとも言えるでしょう。

※ その要素にかけるものは、パワハラ以外の何物でもなく、根絶されるべきではありますが…

成果に応じて報酬を支払うことができる事業や職種」では、働き方改革を実施する上で「時間」と言う軸に配慮する必要がないため働かせ方(職場マネジメント)改革のポイントは「教育」と「人材発掘」そして「配置換え」が、要となります。

ここがポイント

「成果」に応じて報酬を支払うことができる事業や職種における「働かせ方(職場マネジメント)改革」には、「教育」が要であり、企業の利益を確保するためにも、適切な人事と新人の発掘。時には、本人の将来のことも考慮し、転職を促す度量さえ求められる。

販売会社の場合、その取引先には製造会社が控えており、営業職の裏には、製造部が控えていることを考えれば、販売能力に長けた人材に対して「時間的拘束」を設定すること自体が働き方改革を実施する上でナンセンスだとも言える。

また、販売能力が未発達な人材に対しては、時間的拘束の概念を用いて「教育」を実施し、スキルアップもしくは、配置換え以外には、働き方改革に参加することすらできないといった厳しさも必要になるでしょう・

「出来高」に応じて、拘束時間を短縮できる(もしくは、延長せざるを得ない)事業や職種における働き方改革のポイント

「出来高に応じて、拘束時間を短縮できる(もしくは、延長せざるを得ない)事業」には、今回、私が取り入れている「物流事業」。「港湾作業員」や「営業職と直結しない事務職」の他、働き方改革を現場で指揮・指導する「マネジメント(管理)職」が、該当します。

物流事業の場合「配送計画」を中心に複数の企業が協力しあって事業が成り立つため「計画の遂行」が報酬決定の目安となります。

営業職のように「教育」によって、働き方改革が推進され、また、企業の利益が確保されるのではなく、人員の確保環境の整備(機材なども含めて)が、働き方改革のポイントであり、企業利益確保のターニングポイントとなります。

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フリーランスが収入を安定させる場合、もしくは、個人的に働き方改革を行う場合には、このような「物流」事業者の「計画力」や「マネジメント力」を体感し、自発的な働き方改革に活かすのが得策です(個人的には、本当に港湾作業員の派遣スタッフを始めて良かったと感じています)。

基本的に、政府が推める「働き方改革推進」のレポート等の文面を見ると「労働者」と言う文言を多く目にするため、港湾作業員や建設現場作業員などの「危険」を伴い、長時間労働になりやすい職場が対象になっているとも見受けられます。

しかし、港湾作業員などの「物流」に携わる「労働者」と、「建設」に携わる労働者では、働き方改革推進のポイントは異なります。

「物流」にも「納期」があり、「建設」にも「納期」がありますが、「物流」での納期設定には余裕があります。しかし、「建設」の納期は可能な限り短期で設定されることがほとんどです。

この「物流産業」と「建築産業」の間にある「納期」に対する考え方の違いが生まれる理由は、以下の通りです。

「物流」では「速さ」を求めることは、第3者への危険(交通事故等)に直結します。そのため、出荷前の倉庫作業に関しても余裕が設定されているのがほとんどです。

ただし、実際の現場では、作業に追われる倉庫業務、船からの荷揚げ、積み込み業務が発生しているのも事実です。この原因に関しては、人手不足、場所不足、事業者不足、その他、宅配事業などに関しては、不在再配達の問題などがあり、働き方改革、働かせ方改革(職場マネジメント)の限界を感じさせる問題が存在するのも事実です。

これに対し「建設」に「速さ」を求めたところで「危険」が発生するリスクは、その現場で働く当事者のみであり「速さ=利益=コストダウン」にもなるため、建設事業では「速さ」が求められます。

このため「納期に余裕がある現場」と「納期に余裕がない現場」で働く労働者に対する働き方改革では、大きな違いが出てくるわけです。

ここがポイント

物流産業に関しても、建設産業に関しても「速さ」は、確かに「利益」に繋がります。それと同時に、両者とも「速さ」は「事故」「手抜き」「品質の悪化」を招くリスクがあります。

私自身も、過去、建設現場監督などを経験してきましたが、「物流産業」と「建設産業」では、品質を落とさず「速さ」を実現するための要素に大きな違いがあります。「物流産業」の現場で「速さ」を実現する要素には「作業計画(準備を含む)」と作業員の熟度が大きく関係しますが、建設産業では、それ以上に「技術の熟度」が大きく影響します。

そのため、物流の現場以上に、建設現場のほうが、有資格者の存在価値が大きくなります。

物流産業の現場と建設産業の現場では、双方とも単純作業を受け持つ「派遣作業員」の存在がありますが、建設現場のほうが、物流産業の現場と比べて、より多くの機材や道具を使うことが多く、この機材や道具の取り扱いには資格が必要な場合も多いため、両者の「速さと品質」に対する要素に違いが出ます。

政府が掲げる、働き方改革推進のためには、物流産業、建設産業ともに、深刻な人手不足問題を抱えていますが、外国人労働者による人手不足解消という考え方は、安直のような気もします。

もちろん、「技術の輸出」も必要なことであり、受け入れ企業の将来的な海外進出の足がかり的な役割を担うことも考えられますが、現場作業の質には、「技術の熟度」も大きな要因の一つではありますが、それ以上に多くの現場では「コミュニケーション(作業員同士の相性。平たく言えば「仲の良さ」)」が、作業品質、スピードに大きく影響します。

安全上の問題からしてもルールとしての「声かけ・コミュニケーション」だけではなく、職場の雰囲気に影響するようなコミュニケーションが高まる人員配置も重要であり、人事マネジメントは物流、建設の別を問わず重要で「人手不足」という問題も、この「職場の雰囲気に影響するようなコミュニケーションが高まる人員配置」により、解消されるのではないかと、これまでの経験(現在の経験も含めて)から強く感じています。

以上のことなどから本記事では「出来高に応じて、拘束時間を短縮できる(もしくは、延長せざるを得ない)事業や職種」に建設産業を含めておりません。

「出来高に応じて、拘束時間を短縮できる(もしくは、延長せざるを得ない)事業や職種」では、多くの場合、当日に取り扱う「物量」が計画されており、労働者は、その物量と仕事内容を所定の拘束時間内で完了させることが求められます。

雇用する側(マネジメントする側)は、例えば、日当を労働者に支払い、派遣会社が得られる利益を最大にするためには、残業を発生させず、最小の人数で当日定められた物量をさばかせる必要があります。人員配置を間違え、残業が生じれば、それだけ企業に残る利益を圧迫します。

しかし、所定の時間よりも早く作業が終わっても会社に残る利益が増えることはありません。

「出来高に応じて、拘束時間を短縮できる(もしくは、延長せざるを得ない)事業」では、労働者も、その労働者をマネジメントする企業も得られる利益は固定されているため、働き方改革のポイントは「時間」にあるわけです。

人員配置に改善を加え、職場や現場の環境を整え、備品などの作業道具を整備し、作業効率を上げ、所定の時間内に計画された出来高を達成する。

時には「早上がり」を労働者には提供し、所定時間いっぱいまで働いた時と同じだけの報酬を手渡す。企業が利益を貪る行為(早上がりの場合は賃金カット。もしくは、定時までの現場の応援に行かせるなど)を行わず、計画通りの利益を確保することだけに努めることが、円滑な働き方改革の推進と利益の増大につながると言えるでしょう。

「一定時間の拘束が必要」な事業や職種(例:ホテルやレストランなどの接客業。コンビニエンスストアなど。営業職と直結する事務職)における働き方改革のポイント

一定時間の拘束が必要な事業や職種(例:3交代制が必要な現場。ホテルやレストランなどの接客業。コンビニエンスストアなど。その他、営業職と直結する事務職)における働き方改革のポイントには、どれだけ現存する業務や作業を単純化できるかが鍵になります。

工場設備の問題や海外顧客を対象とする事業、24時間営業のコンビニエンスストアやセキュリティ上、または接客上の理由から24時間人員配置が必要な現場に関しては、先に述べた物流産業や建設産業とは一味違った「安全面」「技術面」の課題をクリアすることが、働き方改革の実施以上に、働かせ方改革(職場マネジメント)では、重要になってきます。

安全面に関して言えば、防犯カメラなどの普及が職場のセキュリティ面をカバーすることも多いようで、非常に多くの職場で防犯カメラは設置されるようになりました。

技術面に関しては、マニュアル化や作業の簡素化が進み、一定時間の拘束が必要な事業や職種には、多くの外国人労働者は外国人留学生のアルバイトなどを見かけるようになってきています。

そのため、今後はますます、この流れは加速し、より単純作業化できた職場やマニュアル化が整備された現場では、人手不足の問題は解消され、強いてはAIなどによるオートメーション化も進んでいくことでしょう。

ただし、この「システムによるオートメーション化」は、リアル店舗からバーチャル店舗(インターネット)への移行も大いに考えられるため、コンビニエンスストアの存在は、近い将来24時間365日配送可能な「ネットコンビニ」も登場するのではないかと考えており、その結果、物流産業への人の移動が送るのではないかとも考えています。

物流産業の中でも特に昨今の「宅配産業」では、人手不足問題が深刻化しており、この「リアル店舗からバーチャル店舗への移行」が進めば、ドローン宅配における安全面等の問題もクリアしなければ実現は難しいでしょう。

松村工

もしかすると、「リアル店舗からバーチャル店舗への移行」の狭間には「自動販売機の再興」があるのではないかとも考えており、自動販売機事業の新たな展開が、小売業および物流産業への働き方改革を抜本的に担うのではないかと感じていることもあります。

本記事のまとめ
  1. 働かせ改革を現場でスムーズに導入するためには、事業形態と報酬の関係や労働や作業、職務と企業利益の関係を適切に整理し具体的な就業改善を行わなければ、書類上だけで終わってしまう。
  2. 働き方改革の導入には、労働者への適切な説明が不可欠であり、現場からの理解を得なければ、人材流出の懸念が高まる
  3. 職務評価の難しい営業職以外の労働者が関わる「同一労働同一賃金」の概念やここに定める基準は、特に成果物が一定でない「事務職」に対して慎重に行う必要がある
    (このことに関しては、また別の記事にて詳細をご紹介いたします。)。

「働き方改革」の導入は、多くの場合、事務方によって進められると考えられるため、実際に「働き方改革」の導入によって、労働時間や報酬(賃金)に変化が生じる労働者を取りまとめ、事務方とのパイプ役にもなる「現場長」のコミュニケーション力が、企業の成長につながる働き方改革となるかどうかを決めるのではないでしょうか。

私も港湾派遣作業員として、作業員同士の噂話で「働き方改革」によって、「残業ができなくなる」「強制的に休みになる」その結果、1ヶ月の給料や報酬が減るのではないかと心配する声が上がっています。

派遣労働者には「有給」という概念はなく、「日給月給(出勤した日だけ報酬が得られる)」と言う雇用形態も多く、働き方改革によって万が一、月間報酬が減るようであれば、資格取得などを登録先に願い出るか、個人的な働き方改革(ライフスタイル改革)を行なって、健康的に報酬を増やす努力が必要になってくると強く感じます。

ネット集客アドバイザー

私自身がそうであるように、日給月給といった自由な働き方を選んでいる港湾作業員などの労働者には「フリーランスの働き方改革」が必要です。

ポイントとしては、企業が導入している働き方改革を参考にするのがベストだと感じています。

このことに関しても、同じ記事カテゴリーの「働き方改革」にて、随時記事をアップしていこうと考えています。

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