ネットショップ担当者フォーラム2017

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去る2017年6月9日に福岡のレソラNTT夢天神ホールで開催された株式会社インプレス様主催の『ネットショップ担当者フォーラム2017』に参加してきました。基調講演はグーグルのサーチクオリティチームの金谷武明氏(@jumpingknee)によるネットショップ担当者&ウェブ担当者が意識すべき検索トレンドと本質に関して、お話しされ、その後カゴヤジャパン、Amazon、株式会社ヤプリ、富士通デジタルマーケティングソリューションによるプレゼンが行われました。

また、ダイレクトマーケティング研究所長の柿尾 正之氏がモデレーターを務め、株式会社JIMOSの川部氏、株式会社スクロールの高山氏による、とてもハイレベルで充実したパネルディスカッションが開催されました。

今回は、このネットショップ担当者フォーラム2017の中でも、特に深い学びと発見のあった、Googleサーチクオリティチームの基調講演、Amazon、ヤプリのプレゼンに関してまとめます。パネルディスカッションの内容から得た学びと発見は、また別のコラムでまとめます。

Googleサーチクオリティチームの動向と実際のウェブ市場の乖離

Googleサーチクオリティチーム金谷氏の話をまとめると、近年の検索動向はモバイル検索への比重が増し、モバイルファーストインデックスに代表される通り、2012年から国内でもアナウンスされ続けている「モバイルファースト」の視点が今後はさらに重要だということを、いくつかの新技術とともに話されていました。

「モバイルファーストインデックス」とは、従来の検索結果は、パソコン用のクローラーボットが収集したデータをもとに検索ランキングを決定し、その結果をモバイル検索の結果にも応用するという流れだったのですが、今後は、モバイル検索用のクローラーボットが収集したコンテンツデータを優先させ、検索結果を決めるということです。

例えば、ウェブサイトによっては、モバイル用ページの情報量がパソコン用ページに比べ少なかったり、モバイル用ページにはポップアップ広告を前面に出すなど、パソコン用ページとモバイル版ページの内容が異なるページなどがありますよね。

このようにパソコン版とモバイル版のページ内容が異なる場合、従来は、パソコン版ページの情報をもとに検索結果を組み立てていたのが、今後はモバイル版ページを「親」として、情報を整理するというのが「モバイルファーストインデックス」というものです。

基本的にGoogleは検索者に対して「情報」を返すことに注力しています。ですから、より検索者に有益な情報をモバイル版ページに掲載しなければ、グーグルの評価は落ちるということなんですね。

モバイルファーストインデックスに関する考察と対策は、それだけで何記事にもなってしまいますので、この辺りはホームページ制作の専門サイトにて引き続きコラムを発信していきます。

ただ、私が驚いたのは、モバイルファーストが囁かれるようになって5年が過ぎようとしているのに、ネット通販激戦区の福岡という土地柄でもあるのに、AMP対応サイトを運営している参加者が1割程度だったということです。このサイトも一応AMP対応はしていますが、AMPは現在開発進行中の技術ですので、かなり奥が深く、簡単に導入できるとはいうものの、最先端を行く開発者でなくては、そのスピードに追いつけないかもしれません。とはいうものの、ワードプレスを使ったウェブサイトなら、プラグインを導入するだけで、AMP対応は可能です。

AMPに関して、Googleサーチクオリティチームの金谷氏はハッキリと「導入の是非は直接検索ランキングには関係することはない」とも言っていました。この辺りがネット通販で先をいっているとも言われる福岡県でもAMPが浸透していない原因のひとつかもしれません。
そういう私も、ウェブサイトの表示速度に関してはかなり気を使っているほうだと思いますが、AMPを導入せずとも表示速度が速いサイトに関しては、AMPを導入していません。逆を言うと、このブログは通常だと表示速度に問題があるためAMPを導入していると言うわけです。簡易導入ですのでトップページなんかはレイアウトがおかしなことになっています。そのため検索エンジンもトップページに関しては「AMP対応」とは、認識していないのが現状です。

AMPよりもPWAが重要か?

PWAとはグーグルが取り組んでいる「Progressive Web Apps」の頭文字をとったもので、ウェブとアプリの良いとこ取りを可能にした新技術です。私もまだ不勉強なので、詳細を把握できているわけではありませんが、どうやら簡単に言えば「従来のウェブサイトをアプリ化」できる技術のようです。

アプリの最大のメリットは、なんと言っても「プッシュ通知」でしょう。従来のウェブサイトだと会員にはメルマガで直接働きかけなければなりませんでしたが、メルマガの反応タイミングは、数時間後や数日後と言うのが最近の動向です。しかし、アプリのプッシュ通知は「リアルタイム」と言う言葉がぴったりなほど、即時反応を獲得できます。

ここで問題になってくるのが「アプリの開発費」と「ウェブとアプリの併用運用」と言う問題。ただでさえ、現在はレスポンシブWebデザインを採用していないウェブサイトの場合は、パソコン版のページとモバイル版のページの二限運用を強いられており、情報発信が煩雑になっている企業が少なくない上に、ここにアプリとウェブサイトの運用が重なれば、労力ばかりが増える恐れがあります。そこに来てPWAは、とても魅力的な新技術だと私は捉えています。

アップルやアンドロイドのデベロッパー登録も必要もありませんし、PWAはおそらくウェブ検索アルゴリズムとアプリ検索アルゴリズムの両方に対応することでしょうから、数年後には「アプリファーストインデックス」となっているかもしれませんね。

アマゾンのビジネス展開に見る今後の見通し

「アマゾンを見れば、今後のトレンドがわかる」こう言ったのが誰だか知りませんが(僕は、何度が言っていますが(笑))、あなたもご存知の通り、アマゾンは書籍販売のサービスからファッション業界に進出し、今やチケット販売やB2B取引まで可能にし始めています。さらに実店舗による小売行にまで参入を試み古い言葉だと「オムニチャネル」最近だとO2Oへの進出を試みています。

そして、今では一般的になってきた「Facebookアカウントでログイン」や「グーグルアカウントでログイン」などの進化版として「Amazonアカウントで決済」という「Amazon pay」を拡大しています。

これは、アップルpayに対抗しているとも言われますが、Amazon payとApple payとでは、根本的な土台が異なります。すでにiTunesを通じた買い物をしている人なら、今後はApple payでの決済に何の手間も感じないことでしょうが、iTunesをはじめとするApple決済を使用している人口とAmazonで買い物をしている人口には圧倒的な違いがあると言うことです。ここにマーケティング・オートメーション的B2Bサービスが加わると思うと、商取引を行う過程の中で、何かしらAmazonとの関係をもち、その動向と最新のサービス動向をチェックしておく必要があるのではと、私は感じています。

その理由は、Amazon内での商取引はGoogleのアルゴリズムに左右されることない、Amazonワールドがここにはあり、そしてAmazon自体がグーグルのアルゴリズムにも強い上に、もうひとつGoogleのアルゴリズムに左右されないFacebook領域でもAmazonは強いので、Amazonが今後、企業アプリの販売などを始めれば、オンライン上での商取引はもちろん、オフラインでの商取引に関しても、半ば自動的に双方をつなぐO2Oが実現可能になると言うわけなのです。

すでに、Amazonは「出前館」などの決済にこのAmazon payを導入し、チケット販売やプロ野球のファングッズの販売にもAmazon payを導入しています。現在は、既存のお買い物カートレンタルサービスと連携したサービス浸透を図っているようですが、今後は、この「レンタルカート」も必要なくなるのではないかと私は感じています。なぜなら、Amazon payでの決済が可能だと言うことは、Amazonの保証付商材となるのですから、Amazonに出品できる商品なら、別途クレジット会社との契約も必要なく、クレジット決済を導入できるようになったと言うわけです。

Amazon payの動向や最新情報も、今後はチェックが必要ですね!





アプリ参入の障壁打開になるのか!「Yappli」

ネットショップ担当者フォーラム2017in福岡の進行の流れとしては、株式会社ヤプリのプレゼンの前にレンサバの「カゴヤ」プレゼンがあり、私がもっとも参考になったと感じるパネルディスカッションがあったのですが、カゴヤのプレゼンに関しては何もシェアするほどの内容はなかったので割愛しますが、パネルディスカッションに関しては、内容が濃すぎるので、また別のコラムかホームページ制作専用のサイトのほうで、今後のECサイトにおける「これからの通販・ECで押さえておくべきこと」をお伝えします。

ここで、お伝えしておきたいことは、アプリ開発のコストがここ数年でかなり下がってきていると言うことです。また、これもウェブサイト同様「オリジナル」ではなく、結果が出ているフォーマットに沿ったアプリ開発が比較的安価で可能になっていると言う点が、最大の魅力ではないでしょうか。

このヤプリのプレゼンでとても印象的だったのが、ウェブ界隈では特に多い「これを使えばなんでもできる」的な発言が一切なく、真摯に自社の強みと弱みをプレゼンされていたところです。そして、アプリを導入すると言うことは「ロイヤルカスタマー(常連顧客)」を、大切にすると言う視点がなければ意味がないということも、はっきりお話になられていました。

アプリを開発すれば、今度はアプリをダウンロードしていただかなければなりません。大方の企業は、自社のウェブサイトにトラフィックを呼び込むのですら苦労しており、さらに商品を売るだけじゃなく、アプリのダウンロードも増やさなければ、アプリを開発した意味がないと考えてしまっているようですが、これでは根本的に順番が間違っています。

上手くいくはずがありません。

アプリは新規獲得ツールではありません。また、拙著やメルマガの中ではいつもお話ししていますが「あなたの新規客はどこかの既存顧客」と言うことを忘れていては、結局「もやしの刈り取り(少ない新規獲得で実利が少ない状態)」を繰り返すだけに終わってしまいます。新規顧客の定着を図り、顧客のリピート数とロイヤリティーを高め、再び新規獲得用のコストを増やし顧客数を増やし続けてこそ、安定したビジネスを続けることができます。これは何も通販だけではなく、小売業や店舗事業だけに限ったことではありません。住宅建築にも応用できますし、保険業(コンプライアンス次第ですが)にも応用が可能です。医療でも出来ますね。

アプリ成功の秘訣は、あなたのビジネスがどう成長するかのではなく、あなたの顧客がどうハッピーになるかと言う視点に立てば、結果的にあなたのビジネスも潤うと言う流れを生みます。

先のGoogle PWAと合わせて、今後のアプリ業界にも注目ですね。特に小売業の場合は、PWAも抑えつつ、ヤプリさんなどを通じて、早急なアプリによるロイヤルカスタマーの育成が、玉石混交の過当競争から抜け出す第一歩ではないでしょうか。

補足
この株式会社ヤプリの株主に米国セールスフォースドットコムがいることにも注目ですね。